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24 ◇8年前の出来事

Author: 設樂理沙
last update Last Updated: 2026-01-04 13:07:11
「あなた、単身赴任先で妻が一番やってほしくないことを

やらかしたわよね?

 赴任してから半年後のことだから、記憶が曖昧になってるかもしれない

けど……。

 若い女性を部屋に入れてたじゃない」

「はぁ~?

  俺が、そんなことするはず……ない……だ、えっ?」

 まるで浮気相手を部屋に引きずり込んでたじゃないのと言わんばかりの

由宇子の言葉に、俺は戸惑いを隠せなかった。

「あちらに行ってから女性を部屋に上げたことなんか……」

言いかけて8年前の記憶が蘇った。

 そういえば、インフルエンザで寝込んだ時に、様子を見にきてくれた

同僚の宮路景子がローソンでゼリーやおかゆやいろいろと舌触りが良くて

消化し易くお腹にやさしいモノを買ってきてくれたことがあった。

 そのお陰か、はたまた本来治りかけていたからか──

翌日は前日のことが嘘のように回復に向かった。

 そして心配してくれた宮路は翌日も昼前に様子を見にきてくれていた。

 昼時になった時、宮路が買ってきてくれたうどんを作ってくれて、

どうせならと俺が一緒に食べることを勧めてふたりで食べた。

 そうだった……。

 ちょうどその時、義母が──

由宇子から預かっていた合鍵を使って、部屋に入ってきたんだ。

 たぶん由宇子から話を聞いて様子を見に来てくれたんだろうな。

 たしか……。

 思い出した。

「もしかして俺がインフルエンザに罹って、お義母さんが来てくれた日のこと

を言ってるのか?

 あの日は俺のことを心配して来てくれた宮路さんと、彼女が作ってくれた

うどんを一緒に食べてたんだ。

 ちょうどその時だった。

 君がお義母さんを寄越したんだったよね?

 お義母さんが、君から渡された鍵でドアを開けて、俺を訪ねてきたことが

あった。

 あの時、お義母さんにはちゃんと事情を説明もしたし、宮路さんのことも

紹介したよ。

 まさかあの時のことを言ってるのか?

 お義母さんが何か、その――

言いにくいが俺と彼女のことを脚色して君に伝えてたってこと?」

「どうかなぁ。

 たぶんだけど、あなたの説明通りのことを聞いただけだと思う。

 オオバーな脚色はしてないかな。

 私には母が見た通りの説明だけで、あなたを切るのに充分だったわ」

「何故その時のことが俺と別れる決め手になるんだ?

 さっぱり分から
設樂理沙

ご訪問いただきありがとうございます。 22話が飛びましたこと深くお詫び申し上げます。 すぐに差し替えしていたのですが編集部が休暇に入っており 差し替えが遅れてしまいました。 何か不具合が起きた折には  x設樂理沙  にて発信(状況説明) させていただきますので、宜しくお願い致します。

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  • 『パラレル』─ 愛の育み方を間違え相手の気持ちを理解できず、愛を失くした男の物語 ─   26 ◇ワイシャツとネクタイ

    26 ◇ワイシャツとネクタイ 目の前の元夫の言い訳をどこか遠くのことのように聞きながら、私は当時のことを振り返っていた。 インフルエンザに罹っている夫の元に様子見してきてあげると言ってくれた母に、私はワイシャツとネクタイを言付《ことづ》けていた。 帰宅した母からあちらでの彼の様子を聞いて気分が悪くなり、届けてもらったワイシャツとネクタイを思い切り返してもらいたい気持ちになったものだ。 最後の仏心であんなものを母に言付けた自分を殴りつけたくなった。 そういえば、元夫からありがとうのひと言もなかったっけ。 またこの件も思い出されて腹がたった。私は聞いた。 「ねぇ、母に届けてもらったワイシャツとネクタイどうしてた?」「ぁぁお義母さんからいただいたシャツとネクタイは大事に使わせてもらってるよ。 え? もしかしてあれは君からだったのか?」「私じゃなきゃ、誰があなたに?」「いや、だって……お義母さんから渡されて……お義母さんが買ってくれたとばかり」「ふーん、そういうことか! お礼のメールひとつ来なくて私は切ない想いをしてたんだよ? なんで母からとなんて間違えるのか、不・思・議。 まぁもう、今更だけどねえ~」「もしかして、そのことも離婚原因のひとつになってるとか?」「まぁなってないとは言い切れないけど、比重でいうと同僚女性とのことのほうが大きいわね。 だけどそんなの気にしなくていいわよ。 一番の理由はあなたの身勝手な単身赴任なんだから」「離婚理由になるほど嫌だったのなら、どうして8年前に言ってくれなかったんだ。 単身赴任イコール君の中で離婚確定だったのなら、俺は行かなかったよ? ちゃんと話し合いもせず酷いじゃないか」 元夫はさっきと同じようなことを言って私を責める。

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